役柄別、演技の難易度(日常と非日常)

演じやすい役 難しい役 日常を演じる難しさ 演劇
友人が黒板に描いてくれた、私が演じた役のイラスト。

演劇雑談です。
これまで演劇で様々な役を演じてきて、
演じやすいタイプと、難しいタイプがはっきりとしています。

演じやすいキャラについて

演じやすい=役に入り込みやすい、迷いなく演じられる役柄
という感じです。
演じやすいといっても、決して簡単というわけではありません。
演技を深めていくのは、どんな役でも等しく険しい道のりです。
そして楽しい。

これまで演じたキャラクターをいくつか書きます。

30歳引きこもりの女性
悪魔
虫を擬人化したキャラクター
童話の中の意地悪な継母
奴隷監視人
のび太っぽいキャラクターの男の子
宇宙船の乗組員の青年
宇宙からやってきた謎の人物
古物商(鑑定士)
科学者
アインシュタイン博士

などなど。
私はいわゆるヒロインタイプではないので、
男性役(または性別不明)や人間ではないキャラが多いです。

役に入り込みやすいのは、設定が自分から離れている役です。
つまり、女性ではなく、人間でもない、という役です。
(上記のほとんどがそのキャラクターに当てはまりますね)

キャラクターの内面(考え方や主張)は自分に近くても遠くても、
あまり関係はないです。

普通が一番難しい

日常を表現するのが一番難しい。
これは、役者をしている人なら多くの人が同じように
思うのではないでしょうか。

ぶっとんだ非日常の役やシチュエーションは、
動きも表情も、声色もセリフ回しも、すべて振り切って
オーバーにできるから、その振り切った演技がはまれば、
入りやすいのです。

悪魔も出てこない、別の惑星からやってきた使者もいない、
特殊能力を持っている人もいない、ごく普通の日常。
自分のすぐ近くにいそうな、
あるいは自分自身に近い普通の女性、男性。
それが私にとっては、難易度が一番高いです。

もちろん、人間は一人ひとり色濃く違いがあり、
「普通の人」なんて存在しないのですが、
それはそれとして。

なぜ普通は難しいのか。私が思う理由はふたつあります。

・感情の幅、グラデーションの豊かさが必要
・静の演技に耐えられる存在感と肝が必要

感情のグラデーションについて。
私たちの日常は、劇画のような世界ではないです。
大きな声で相手を罵倒したり、銃撃戦をしたり、
泣き叫んだり、高笑いをしたり、
ということは、日常的にはないです(少なくとも、私は)。

しかしながら感情は日々、それこそ1分1秒ごとに色を変えています。
繊細に、細かく、動いています。
「歓び」の感情の中にも、100も200も違う色が存在します。
悲しみも、怒りも、虚しさも、同じです。

その途方もないグラデーションを演じ分けるのが、
日常の普通の役どころだと思います。
テレビドラマや映画ではなく、生の舞台だと、
画面に表情がアップになるわけではないので、
なおさら難しいものです。

そして、静の演技。
「静」といっても黙っていて動かないということではなく、
押せ押せで刺激の強い言葉や動きによって観客の心をひきつける
ことがないという意味での「静」。
深くて静か、波紋もない湖。
大きな波をあえてたてず、自分もその静かさに耐える。
そして、そこに起きるほんの小さな波紋が、見る人の心をとらえる。

こう考えると、日常を演じるということに、
とてつもない非日常性を感じます。

仕事もぶっ飛んだほうが提供しやすいか?

ここまで演じる役の難しさについて書きました。
ふと、仕事で提供するサービスはどうだろうと考えました。

普通(需要が多く、提供者も多い。一見すると参入しやすそうな界隈)
→実は、とてつもない難しさがある。
間口は広いが、真に感動を生む(喜ばれる)サービスを提供するには、
突出した違いが必要になる。

非日常(いわゆるニッチなサービス)
→ぶっ飛んでいる分、方向性が合えば追求しやすい。
その舞台(世界)に1役だけしか必要ないキャラクターだけれど、
それでいて絶対に必要なキャラ。

少し強引なつなげ方だったでしょうか?

役者としては、普通の役を演じられるように修業を積みたい。
まだまだ、道のりは遠いですが。

仕事人としては、勝負のレベルが高い界隈ではなく、
自分がはまって迷いなく演じられる方向を見つけたい。
色物でも3枚目でも渋い脇役でも悪役でも、まあこの世界に一人は
必要というキャラクター(サービス)を追求していきたい。

【編集後記】
5月申告1件、7割まで進めました。
夜散歩をしていたら、民家からプロ野球中継の音が聞こえてきて、
一瞬タイムスリップしたような感覚でした。
そういえば10代後半、神宮球場の近くでバイトをしていました。

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