ぬか床が復活してきました。そろそろ、本漬けができそうな予感。
復活プロジェクト
冬野菜のセロリが終わり、しばらく静かに眠っていたぬか床。
ふたを開けてみると、なんだか元気がない。
私の好きな、発酵の香りも弱々しい。
「あー、やってしまったか……」
でも、捨てるなんてとんでもない。なぜなら、ぬか床は「生き物」だから。
長年連れ添ったぬか床を捨てるなんてできません。
完全にダメになっていなければ、必ず盛り返してくれるのがぬか床です。
ということで、夏本番に向けて、ぬか床復活プロジェクトを開始。
まず小さな樽から、80リットルの大型樽への大引っ越しです。
新しい樽に生糠と塩、水で新品のぬか床を作り、そこに発酵済み(やや弱っている)のぬかを投入。
新旧の融合作戦。新しいぬか床には発酵が促進され、古いぬか床には新しい活力が注入される。
お互い様の関係です。
用意した生糠では、80リットルの樽に対してはやや心もとなかったです。
夏野菜を漬けながら「足しぬか」していき、樽の7割くらいまでぬか床ができればと考えています。
調味料はシンプルに、自家製の鷹の爪と昆布のみ。
我が家のぬか床は基本この「シンプル・イズ・ベスト」の精神で作っています。
捨て漬けという育成期間
ちょうどキャベツがたくさん採れていたので、捨て漬けはキャベツの外葉から。
キャベツの収穫が終わると、今度はナスの小さな変形果を投入。
捨て漬けは、ぬか床にとっての育成期間。
野菜の水分や栄養分を吸収しながら、菌たちが活発に動き出します。
先週あたりから、香りが酸味を帯びてきた。これは良い兆候。
「そろそろ本漬けいけます!」というぬか床からのサインです。
夏野菜では、ズッキーニがまだまだ採れています。
ピークは過ぎたけれど、変化球として、まずはズッキーニから試してみようかなと。
そうするうちにナス収穫がラッシュを迎える。キュウリも採れてきます。
キュウリはナスほど株数は多くないけれど、ぬか漬け用にもときどき使いたいところ。
個人的には、きゅうりのぬか漬けが夏野菜の中で一番好きです。
ぬか床との出会いと付き合い
ぬか床作りを始めたのは、税理士受験生の頃。
勉強の合間の息抜きとして、ぬか漬け作りがありました。
朝晩の手入れ。野菜が採れたら漬ける。漬けあがったら取り出して食卓に出す。
それは毎日のルーティンになっていました。
暗記⇒ぬか床⇒計算⇒ぬか床⇒過去問⇒ぬか床
というように、一日のスケジュールにメリハリがつきます。
勉強をするとき、いつも右手からぬか床独特の香りがしていました。
ぬか床だけでなく、勉強以外の日課がいろいろありました。
マラソン前は毎日走り、コンサート前は練習をする。掃除や洗濯も。
勉強だけを何時間もひたすらやらず、集中を切る“何か”があることで、短時間集中ができました。
その何かは、楽しいことであればなおさらです。
なぜ、ぬか床に惹かれるのか
ぬか床は、同じものは一つとして存在しません。
ぬか床作りの最初のレシピが同じでも、どう育つかはその家庭によってまったく異なります。
混ぜる人の手によって、気温によって、漬ける野菜の種類によって、菌のバランスや旨味がまったく違ってくるからです。
乳酸菌優勢の酸っぱめが好きな人もいれば、フルーティーな酵母菌優勢を好む人もいる。
私は、さっぱり酸味強めが好きです。
常に育てながら使い、毎日変化していくぬか床。実験的な面白さもあります。
そして生きている菌の力を感じられます。
もちりん、常に状態が良いに越したことはないですが、ちょっと不調になったぬか床が復活したときは小さな感動があります。
そういうところに、惹かれるのかなと思います。
思い返せば、子供の頃は祖母がぬか床を持っていて、よくぬか漬けを持ってきてくれました。
祖母の手からは、いつもぬか床の香りがしていました。
祖母の作る酸っぱめの古漬けが私は大好きでした。
すっぱい古漬けに鰹節をかけて醤油をちょろり。それが最高に美味しかったです。
小さな手入れが作る豊潤な未来
手入れを怠ったり、ちょっと管理を間違うと、とたんに悪い発酵(腐敗)へ進みます。
悪いカビが生えたりもします。
そうなってもまた、手入れによって良い菌が増えて復活もする。
ぬか床も人の人生もそういうものだなあと思います。事業という生き物も。
ぬか床も人生も会社も、好調な時期もあれば、不調な時期もある。
適切な管理と継続的な手入れ(経営改善)によって、企業も復活を遂げる。
そして、「ん……?おかしいぞ」異変に気づくのは早い方が良いです。
ぬか床から学ぶことは本当に多いです。
• 継続は力なり
• 状態悪くとも、諦めず淡々とやるべきこと、できることをすべし
• 毎日状態を自分の目で見る、感じることが大切
• 美味しいバランス(求める好み)は十人十色
今週末には、いよいよ本漬けのトライアルをしてみようかとワクワクしています。
毎日の小さな手入れが、豊かな未来を作っていく。
今日もぬか床をかき混ぜながら、そんなことを考えています。
【編集後記】
津山市内、とある喫茶店に初めて入りました。
幹線道路沿いてお店の存在は知っていました。
昔ながらの喫茶店で、実際に創業40年数年だとか。
静かで、良い意味でお客さんにあまり関せずという感じで、
とてもゆっくりできました。珈琲、美味しかった。