サービス精神は、用法・用量を守って正しく使いましょう。
サービス精神過剰
「あなたは、サービス精神旺盛だから」
もともとは、私に対してプラスの意味で言ってくれていたと思います。
ところが、いつのまにかそれは意味が変わってきました。
ほどほどにしておいたほうがいいよ。
やりすぎだよ。
自分が消耗しては意味がないよ。
自覚はありました。
サービス精神旺盛ではなく、サービス精神過剰。
なにをもってサービスが過剰(マイナスの意味)になるのか。それは、
相手が「申し訳ないな、こんなにしてもらって」という気持ちになる。
自分が楽しめていなかったり、疲弊したり。
あるいは、その両方が同時に起きたとき。
無償のサービス。
仕事として対価をいただくサービス。
そのどちらでも、サービス過剰現象は起き得ます。
私は、100お願いと頼まれると、120、130を出す。
という傾向にあります。
元来、人は誰かに喜んでもらいたいと思うもの。
だから、相手が期待に、少しでもプラスアルファをして
渡したいなと思うのは自然なことだと思います。
相手を思って準備しているときも楽しいし、
それを相手が喜んでくれたときも嬉しい。
お互いに、幸せ。ならまったく問題なし。
しかし、私にとってこのサービス精神は、扱いがなかなか厄介。
使い方を間違えると、副作用が大きいのです。
サービスするほど不安にかられる
始めは、100に対して120を提供するサービス精神だった。
次は、130。次は140。とエスカレート。
そして、気付けば100に対して120でもまだ足りない、
となってしまうのです。
今回はぴったり100しか準備できなかったけど、そういうこともあるよね。
と思えないのです。
これは、相手が大盛サービスを期待しているから、というわけではなく、
(そういう場合もありますが)どちらかというと自分自身の問題です。
やがて、相手が喜んでくれる姿を思い浮かべて自分が楽しむ、ということが
できなくなります。これで足りるだろうか、という不安にかられる。
もはや、特盛、メガ盛りが通常モードになり、普通盛りの感覚がわからなくなる。
普通盛りではもう提供できない。そんなことになってしまうのです。
なぜそうなってしまうのでしょうか。
サービス精神というのは、その名のとおり精神、相手を思う心からくるもの。
だから、誰かの指導監修のもと、ここまで出しなさい、これが適切です、
と線引きをしてもらえるものではないですよね。
仕事であれば、どれだけ時間をかけても良いということはないので、多少は
やり過ぎですという上からの抑制があるかもしれませんが(しかし従業員の
サービス精神に「お任せ」になってしまうことも……)。
そして、サービス精神に対する効果・効能に依存すると、それを手放せなくなる
ということが大きいかなと思います。
つまり、相手が喜んでくれること、それが自分の評価・価値につながり、
それで自己肯定しているような場合です。
普通のサービス量にして、相手がどう思うか、不安になる。
自分がしたいからではなく、相手が期待している(ような気がする)、
過剰なサービスをすることが自分の価値という勘違い。
それで、過剰なサービスをやめられなくなる。
サービス精神をどこまでもプラスの意味で発揮している人は、
本当にただ単に自分が楽しいからしている、というところを超えない
ように思います。自分の価値云々という考えにはならない。
相手が喜ばなかったらどうしようとか、相手ががっかりしたら、
自分は終わりだ(!)という妄想にもかられないはずです。
そして、ほどほどにできる。普通盛りのときも作れる。
常に過剰過剰ではなく、自分と相手の状況を俯瞰して見て、
ベストなメニューを臨機応変に出せる。
プロのサービス精神提供者です。
断・サービス精神(普通盛りの感覚を取り戻す)
ずっと使っているお薬を断つとき、一時的に悪化することもある。
サービス精神はどうでしょうか。
過剰サービスは断って、普通盛りにしてみる。
きっと不安になるでしょう。やり過ぎた方が、安心です。
でも、自分が楽しめないのなら、大盛りのサービス精神はいったんストップにすべき。
ゼロか100か、白か黒か。という考えも強いので、
過剰サービスをしないなら、サービスは一切やめ、と言い出しそうな自分ですが、
そこもまた過剰に行き過ぎず、「普通盛り」の感覚を取り戻していきたいです。
元々行き過ぎる性格なので、自分が8割と思っているものが10割くらいでしょう。
ときには、塩梅を間違えて相手から「えっ、これだけ?」と思われても良しとする。
そのくらい潔く、割り切って自分で自分を監督しないといけないかなと思います。
普通盛りあり、特盛りもあり。
辛さも段階的に用意しています。
トッピングも各種取り揃えています。
そんなバリエーション豊かで、コントロール可能なメニューを楽しんで出せる
お店(人間)になって、真に喜ばれるサービス提供者になっていきましょう。
【編集後記】
路地の桃の花が満開です。
桃は摘蕾をするので、桜ほど密度は濃くないのですが、
遠くから見ると濃いピンクが鮮やかです。