受験勉強、官報合格、税理士事務所への就職。
2年間の実務経験を経て、税理士登録。そしてまた実務。
この間、じっくり税理士という生き方に向き合っていなかったかもしれません。
簿記から税理士は自然な流れだった
プロフィールにも書いているのですが、
簿記が面白かった、
というのが税理士を志したスタートです。
簿記の3級と2級は、現役の税理士の方に教えていただきました。
月に2~3日講義を開いてくださり、あとは自習です。
6月に講義が始まり、その年の11月に1級、
翌年2月に2級を受験しました。
その税理士の方の考えは、
簿記を通して社会の仕組みを知る。
簿記を通して学ぶ喜びを知る。
というもので、
就職のために資格を取るのが目的ではありませんでした。
実際に自分も職業につなげる気持ちはありませんでした。
知らない世界を知る。
お金の流れを知り社会の仕組みを知る。
自分の幅を広げる。
そういう気持ちで勉強していました。
勉強は楽しかったです。
2級に合格して簿記講座は終わりだったのですが、
もっと勉強したいと思いました。
そこで、独学で1級をはじめました。
1級をはじめたときは、さすがに職業を意識しました。
1級をとるということは、税理士試験の受験資格を得るということ。
簿記が好きだったから、あまり迷うことなく、その道を進みました。
自然な流れで、道が決まったなという思いでした。
迷いはなかったけれど、職業を決めるという覚悟はありました。
簿記1級も『楽しむ』の中にとどまっていた
何かを学ぶとき難しいのは一番初めだと思います。
そもそも用語の意味も分からない。
ゼロから一が一番難しい。
簿記もその通りで、3級を始めたときが一番ハードルが高かったです。
貸方借方ってなに??というあれです。
なので、簿記1級自体は範囲が広く難しいのですが、
3級2級の積み重ねがあったから、独学が可能でした。
職業を決めたのですが、正直なところ1級もまだ
ゲーム感覚で楽しいという枠を超えませんでした。
実務につなげて学ぶということをしませんでした。
机上の空論ではないけれど、
税理士になったらどう使うのか、というイメージがなかったです。
実務や税理士としてどういう仕事をするのかということをイメージ
することが、少しは必要だったかなと今思い返すと感じます。
何が正解かはわからないけれど。
1級を終えたら、いよいよ税理士試験です。
簿記から法律の世界へ
税理士試験には、
簿記論と財務諸表という簿記の延長の会計科目と、
簿記とは異なる税法科目があります。
ここで初めて法律の世界に触れます。
一言でいうと、解釈の幅があるのが簿記と違うなと思いました。
もちろん簿記(会計)も、100人が100人同じ答えになるわけでは
ありませんが、それ以上に法律(税法)は答えがはっきりしない
と思いました。
税理士試験では一応正解はありますが、それでも
「あなたはこの状況にどういう答えを出しますか?」
と自分の正義を問われていると感じました。
法律を読む人(使う人)の立場、考え、正義をどこに置くか、
それによって本当に答えが変わる。
実務になればなおさら、答えの幅は大きいです。
簿記の世界と法律の世界は、つながっているけれどまったく別の世界。
そんな印象です。
簿記が面白いから税理士になる。
それは自然だったけれど、実際に仕事にするとなると、
自然に任せていては、よい仕事はできないなと痛感しました。
自分がその資格を生かして、どんな人の役に立ちたいのか。
どんな形で、どの角度で、どの分野で、役に立てるのか。
簿記が楽しいという原点と、税理士という現在地。
税理士としての実務経験。
それらを棚卸して、
私なりの税理士像をいまいちど考えていきます。
このテーマは1回では書ききれないので、
不定期で書いていきたいと思います。
【編集後記】
今日は引継ぎ業務(の準備)。
何をどこまで引継ぎで伝えるのか、難しいですね。
お客様の顔を一人ひとり思い浮かべながら、
ここまでの自分はお客様に育ててもらった部分が
かなり大きいな、とあらためて思いました。