冷蔵庫を開けて使える素材を見て、その場でメニューを決める。
レシピをわざわざ調べなくても、さっと美味しい料理が作れる。
味付けも、目分量で。
センスも多分にあるでしょうが、やはり経験によるものも大きいのかなと思います。
突然の訪問に豪華メニューでおもてなし
先日、知人宅へ夕食にお招きいただいたときのこと。
当日夕方に急遽決まった食事会だったにも関わらず、それはもう
メニューが豪華でした。
料理が趣味。
疲れていたら料理をしたら回復する、料理が癒し。
というほど料理が好きな方です。
冷蔵庫にある食材と、奥さんが帰りに買ってきた食材を見て
献立を決め、時間に間に合うように作ってくれたとのこと。
シンプルな大根のサラダには、オリジナルのドレッシング2種。
鶏レバーのフォアグラ風バターソテー(ふわっふわで最高に美味)。
おからとイカと卵の炒め物(美味しくて深鉢に3杯もおかわりをした)。
イカのお刺身。
厚揚げのソテー(甘辛いソースが美味しい)。
しめにはホタテとホタルイカのさっぱり牛乳クリームパスタ。
どれも、レシピを見ずに手慣れた様子で調理。
手際のよい料理は、手元を見ているだけでほれぼれとします。
原則を知る
1つの素材から複数の組み合わせを思いつく力。
思いついた料理を、イメージ通りの味にする力。
それは、もちろんただの「思い付き」ではなく、
過去の経験(作ってきた料理の蓄積)から、
料理の原則を知っているからだと思います。
素材×味付け
素材×調理方法
素材×素材
無数にあるその組み合わせの中で、外さない黄金の組合せ。
超定番・鉄板の組み合わせ。料理の基本、いろは。
料理するたびに、そこにある原則を見出す。
さらには、その原則を自分の好みに変化させる。
それがどんな素材が来ても戦えるようになるコツなのかなと想像します。
調理の基礎(必ず丁寧に臭みを抜くとか、煮崩れないような切り方とか)や、
組み合わせの基礎があるから、オリジナルメニューでも、目分量の味付けでも、
美味しさを外さずに作れる。
自分が料理するとなると、なかなかレシピを手放せないです。
レシピとにらめっこしながら作る。
そこにある原則を覚えるというよりは、その1品を作って満足!以上!
となってしまう。経験値としての積み上げがあまりないのです。
作った料理から原則を学んで他の素材でもできるかなと考えたり、
自分好みの味に少しアレンジということをしたら、腕は上がるのだろうなと
思います。1回1回で完結してしまうのがよろしくない。
あとは、場数を踏んで身体で覚えるということもあるのかなと。
一か月に1回スペシャルメニューを気張って作るよりも、毎日1品提供する。
それを自分で食べて自分で講評してもいいし、誰かに食べてもらうのもよい。
失敗も成功も、毎日舌で味わう。調理の手際ももちろん良くなります。
原則、オリジナル、アウトプット(提供)
仕事でも同じだなと思います。
基礎を知らず、いきなりオリジナルレシピは出せない(天性の才能があれば別)。
税理士でいったら、素材は会計の原則や、税法など。
素材だけあっても、提供できる品にはなりません。
(料理は、加工しなくても素材だけでも1品となるものもありますが)
誰もが共通で使う素材(規定、税法)にどう手を加えるか、
×味付け、×調理方法、×素材
のように、何をかけるかで、税理士ごとのメニューが決まります。
そのかけ合わせにも定番というものがあって、税理士でこのメニューを
出したら一定のお客様は来てくれるだろうというものがあります。
税理士の独占業務である税務代理、申告書の作成、それから税理士業務では
ないけれど経理代行も。これらは昔からある、定番料理です。
でも、定番も歴史とともに変わります。
定番のリニューアル、あるいは、新しい組み合わせを生み出す。
料理と同じように、定番はなんだかんだ言ってずっと残り続けるのか。
たとえば、ブリ大根。ブリか大根がこの世界から消滅しない限りは残る
定番のメニューのはず。ぶり大根、美味しいですよね。
先に書いた昔からの定番税理士業務も、ぶり大根のようにこの先何十年も残る
定番なのか……それはちょっと怪しいかなと。
完全になくならないまでも、お客様が求める新しい定番は増えていきます。
ですので、素材をしっかりと知って、原則・定番も必要なところは押さえて、
自分で味付けや組み合わせを新しく作っていく必要があるなと。
さらに、これからは新しい「素材」も自ら見つけてくる未来になります。
税法や会計知識だけが、税理士が調理する素材ではなくなっています。
自ら扱ったことのない素材を狩りに行ったり、新種の野菜を改良して栽培
するかのような時代ですね。
料理と同じように、頭の中でイメージトレーニングだけして
いてもうまくはならないので、献立を考えて、手を動かして調理して、
提供してみる。怖いけれどそのレビューは真摯に受け止める。
もし誰も食べてくれなかったら、別メニューを考えましょう。
なにより、自分が美味しいと思うメニューを提供したいもの。
そして、それを同じように美味しいと言ってくれる人に来てほしい。
そのためには、やはり日々研究、実践ですね。
ところで、定番ブリ大根、いまは若い人はあまり食べない(作らない)
のでしょうか?確かに、手間はかかりますけど。私は好きです。
【編集後記】
企業版ふるさと納税をされている会社の申告書をはじめて
つくりました。ひとつ、新しい経験でした。