鳥取県の倉吉へ日帰りで遊びに行きました。
目的は、回転寿司北海道と廃線跡地。廃線跡は、空いていて、良かったです。
予想外に静かな人気スポット
旧国鉄倉吉線の廃線跡。
「日本一美しい廃線跡」というふれこみで人気観光スポットになっているとのことでした。
ところが、です。
現地に到着してみれば、予想はあっさり裏切られました。いい意味で、閑散。
メインスポットである竹林の間の線路。
そこで出会ったのは、わずか2~3組程度の先達(あるいは後続)のみ。
そのあまり人気のない様子が、かえって廃線跡にしっくりと来て、非常に心地よかったのです。
もし混雑して賑わっていたとしたら、あの独特の静謐な雰囲気は味わえなかったと思います。
何故か懐かしくなる、線路歩き
観光案内所から泰久寺駅跡まで歩き、駅跡から線路に降り、竹林のスポットへ。
帰りはそこを折り返してきます。片道約1.2キロで、お散歩にはちょうどよい距離です。


観光案内所から泰久寺駅跡までも、ところどころに線路跡が残っていました。
線路、枕木が残っているところ歩き、途切れたら道路に戻る。
なんどか繰り返しながら、駅跡まで向かいます。
線路の上をバランスとりながら歩いていると、懐かしい感覚になりました。
なぜでしょうか。ただ、線路の上を歩く。
これだけで、子供心に帰ってしまう感覚に襲われます。
子供の頃、毎日線路上を歩いて登校したとか、そういう思い出があるわけでもないのですが。
例えるなら、小学生の頃、通い慣れた通学路から、ちょっと道草をして、近道と称して見つけた裏道を親には内緒で一人わくわくしながら歩いた、あの感覚に似ているかもしれません。
「立ち入り禁止」と言われると、かえって一歩踏み込んでみたくなる好奇心と、かすかな背徳感。
そんなものが、線路の踏み心地を通して蘇ってくるようです。
そして竹林
泰久寺駅跡につくと、そのプラットフォームから線路に降りて竹林のある方面に向かいます。
(駅のプラットフォームから線路に降りるのもわくわくします)
木々の中をしばらく歩いていくと目の前に現れたのは、竹林。
竹林があるのはわかってはいたけれど(それを見に来たのだから)、その景色をみた瞬間、
「ここはどこ?」となります。

線路の左脇、本当にすぐそばに、竹林が続いています。
竹林は空に向かってまっすぐに伸び、
そして線路もまたまっすぐに、奥へ向かってただひたすらに伸びている。
竹林に囲まれた線路は、本当に非現実的です。
すぐ下は国道で、そこには現実世界があります。
竹林を境界線にして、ここだけ別の時間が流れているような錯覚に陥ります。
違う時間軸、別の空間に足を踏み入れたような感覚。
廃線マニアではない私も、これは美しいと思わずにはいられませんでした。
「日本一美しい」というキャッチ―なコピーを少しばかり疑っていたのに、美しいという感想が自然と出てきました。
私は廃線マニアではないので他の廃線跡と比較しての感想は語れませんが、目の前にあるこの風景が「美しい」ということは、確かでした。
アクセスの悪さが守るもの
このスポット、アクセスを改善すべきという声もあるようです。
しかし個人的には、アクセスの悪さによってこの静謐さと非現実的な雰囲気が守られているのではないかと思うのです。
テレビで紹介された直後は、もっと大勢の人が押し掛けたのだろうと思います。
そこから人気が落ち着き、現在のほどよい閑散具合になったのかもしれません。
日曜の好天でこの人出。ちょうどいい塩梅です。
これくらいの静けさが、竹林の廃線には似合っているような気がします。
そのモノ(ひと)の魅力や力が最大限に引き出される条件。
それは一人ひとりが違うのだと思います。
人気なら良い、支持され、集まる人が多いほど良い、ということでもなさそうです。
自分の仕事も、そんな風に考えたいものです。
廃れず、忙殺されず。
ちなみにトレッキングツアーには参加しなかったため、竹林の先のトンネル内は未踏破です。