過剰になりがちな手紙というコミュニケーションが好き

手紙 万年筆 雑記
かつて税理士試験のお供。いまは手紙のお供の万年筆。

手紙を書くことが好きです。
年々手紙を出す機会は減っていますが(さみしい)、
相変わらず、ペンと便箋封筒・切手は常備し、いつでも書けます!
という状態でスタンバイしています。

私の手紙歴

10代半ば頃まで電子メールが一般的ではなく、電話(家の電話と公衆電話)と手紙が
遠隔地の相手との2大コミュニケーション手段でした。
主に、共通の趣味でつながっていた知人に、よく手紙を書いていました。文通ですね。
学校やらバイト先に打ち解け合える友達らしき人がいなかったもので、
趣味についてマニアックに語る手紙の世界では、ここぞとばかりに饒舌になっていました。

ペン(その頃はメインの筆記具はゲルインクボールペンでした)でゴリゴリと便せんに
文字をつづって、季節や相手のイメージに合わせた切手を選んではり、投函する。
という一連の儀式を楽しんでいました。

そしていまだに、手紙が現役のコミュニケーション手段として存在しています。
その頻度はかなり少なくなっていますが。

どういうときに手紙を書くか?
旅先から、友人や家族へ。というのが多いです。
旅の空気をお土産に、という気持ちです。
手紙が届くより先に自分が帰ってくる、ということもよくあります。

仕事では、手紙を書くタイミングや相手が難しいです。
滞りなく仕事が完了したら、あまり手紙を書く機会はありません。
書面での通知はありますが、それは手紙ではないので別として。
あえて手紙で伝える、ということは特別な場面ということになります。
個人で仕事をしていたら、また違うのかなと思いますが、
一社員が、顧客に手紙を書くということは今のところあまりないです。

ということで、現在は手紙を書ける相手や機会はとても少なく、
その稀少なタイミングを逃さず、書けるとき書ける相手に書くという生活です。

手紙(手書き)だから効果的とは思わない。ただ、好きなだけ。

メールやラインより手紙の方が良い、手紙の方が伝わる、とは思ってはいません。
文章力、相手への熱量や愛情があれば、どの方法でも伝わると思います。
言うが易し、ですが。
今回のお話は、手紙がいい悪いではなく、ただ単に、私は手紙が好き、ということです。
メールもラインも、日常的に使っております。

手紙の何が好きなのかと考えてみると、気持ちが行き過ぎるのが良いのかなと思います。
これは、相手にとってはもしかすると少々迷惑な話かもしれませんが。

文字ではなく声でのコミュニケーション(対面での会話や電話)より、
推敲ができる手紙の方が誤解がなさそうに思えるけれど、
私の場合は反対に手紙の方が言い過ぎてしまうことがあります。
相手とのキャッチボールになる会話と違い、一方的に長文で思いを伝えるわけで、
知らず知らずのうちに自分の世界に酔って、感情が過剰に偏ったまま突き進んでしまう
というわけ。

一晩寝かせた手紙を翌朝読んで、恥ずかしくなって書き直す。
というのはよくある話ですね。

書き直しても、やはり、過剰・行き過ぎることはしばしば。
相手の反応によって次に言うことを変えることができないから、
手紙の文末まで、一気に一方的に書ききる。それが良いのです。
重い、過剰、だけれど正直な気持ちが書ける。
メールのように履歴が手元に残らない。
過剰に書いて、出して、あとは読む人に託す。
(やっぱり、ちょっと迷惑?)

相手からの手紙が嬉しいのも、いい意味で一方的に、過剰に、
文章のはじめから終わりまでを、物語のように受け取れるのが嬉しいです。

長ければいいといいうわけではなく、
俳句や短歌のように、文字数や季語などの制約がある中で生まれる名作があるように、
絵葉書のようにスペースが限られた中で、素敵な文章が生まれることもあります。

私はというと……毎回自分の表現力の稚拙さや、語彙の乏しさに打ちひしがれつつ、
封をして投函するのです。魅力的な文章が書ける人への憧れはやみません。

ブログは手紙のようなもの

過剰、行き過ぎる。
ん?……はたと手が止まる。ブログはほとんど手紙のようではないか、と。

手紙は届ける相手が一人。ブログは不特定多数。
という違いはあるけれど、私はまるで手紙を書くようにブログを書いています。
特定の人に特定のメッセージを送っているわけではないけれど、
ぼんやりと読み手の顔をイメージしている。
かつての自分、あるいは今の自分と同じような状況にいる人に向けて。
一方的に自分の思いをつづっている。

あらためて、ブログは不思議なコミュニケーション手段だなと思う。
手紙のように空間を超える。遠くに住む人に届けられる。
しかも、手紙と違って時間も超えてくれる。
未来にいる誰かが、過去のこの記事を読むかもしれない。
後で恥ずかしくなるようなことを書くこともあると思うけれど、
手紙好きの私には、ブログはうってつけの表現方法なのだという結論に至りました。

【編集後記】
知人に、万年筆で手紙を書きました。
税理士試験の理論記述をするときに、はじめて万年筆を使い、
手首に負担にならない滑らかな書き心地に感動したのを覚えています。
税理士試験は万年筆という世界も私に教えてくれたのです。
いまも手紙を書く時に欠かせません。インクはブルーブラック。

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